1969年7月
世界は、人類史上初の特別な瞬間を目撃しました。
ゼロハリバートンでは、アポロ11号の偉業から50周年を記念して、アポロ11号の月での使命と成果、またサポートした我々の役回りについて、特集「プレシャスカーゴ」を5回のエピソードに分けて、配信します。
人類史上初めての月面着陸
それは始まりに過ぎなかった
「ヒューストン、こちら静かの基地。イーグル(着陸船)は舞い降りた。」このニール・アームストロング船長の言葉で、地球上にいる多くの人は、人類が偉業を成し遂げた事を知ることとなりました。人間が無事に月に着陸したのです。しかし、地球にいない三人の宇宙飛行士にとっては、使命完遂までの長い道のりの一歩でしかありませんでした。アポロ11号は、月面の着陸スペースを探すだけではなく、月の欠片を持ち帰るという使命もあったのです。 貴重な月のサンプルを無事に採集し収納するには、数多くの作業をしなければなりません。
宇宙飛行士が使用する道具は、彼らが簡単、効率的、そして安全に使用できるように細心の注意を払って開発・選択されていました。ゼロハリバートンのケース、オメガの時計、ハッセルブラッドのカメラのように耐久性があり信頼できる機器のみが必要とされ、月への旅行を実現させることが出来たのです。
不可欠な資質
月への旅に必要な道具のほぼ全てがNASAによって開発されましたが、極少数の優れた既存製品も選ばれ使用されました。
ゼロハリバートンのケース、ハッセルブラッドのカメラ、オメガの時計などの「エリート製品」は、アポロ11号に搭載され月に飛び立ったのでした。
突出したデザイン・工学技術・機能性が厳密に評価され、選ばれた結果でした。
そして、50年経った今、「宇宙仕様」の比類なき品質を持つ商品を作り出した象徴的なブランド、として尊重されています。
オメガ・スピードマスタープロフェッショナル:1965年から宇宙飛行士の時を管理
振動、熱、湿気、衝撃、および真空の影響を評価するための何ヶ月にも及ぶ厳しいテストを受け、たった1つの時計:オメガスピードマスタープロフェッショナルだけが、NASAから認定を受けるためのすべての要件を満たしました。1965年以降、オメガスピードマスターのクロノグラフはNASAの宇宙飛行士に愛用されています。オメガの時計は月に合計6回行きました。丈夫で気密性の高いケース構造により完全な防塵性を実現し、月面の粉塵に影響を受けることなく作業ができるのです。
ハッセルブラッド500 EL:写真で月を持ち帰る
ハッセルブラッド500 ELカメラは堅牢でコンパクト、且つモジュール式のためNASAのエンジニアにとって「カスタマイズ(不要な部分を省いて軽量化)」するのが簡単でした。そして、カメラとして一番重要な使いやすさと比類のない画像品質のおかげで、アポロ11号の宇宙飛行士は、歴史的な旅の物語を写真により世界中の人々と共有することが出来たのです。
アメリカンオプティカルパイロット:宇宙飛行士に向けた格好良いサングラス
地球の大気の保護がない状況の宇宙では、太陽光線はとても有害であり、上質なサングラスはNASAには欠かせないアイテムです。アメリカンオプティカルパイロットサングラスがアポロ11号の宇宙飛行士に支給され、太陽光の直射と紫外線から網膜を守りました。高品質のガラス製レンズと金属製のフレームは、宇宙旅行での太陽光問題を解決したのでした。また、このサングラスをかけている宇宙飛行士はとてもクールに(格好良く)見えました。
フィッシャー・スペースペン:鉛筆の芯が宇宙での一日を台無しにする可能性がある
無重力の閉鎖的環境では、小さな粒子が大きな問題を引き起こす可能性があります。鉛筆の芯から出るグラファイトダストが、壊滅的な状況を作り出すかもしれないのです。宇宙船を爆破することなくメモを取るということは至極合理的な宇宙飛行士からの要求でした。そして、その要求を満たすのはフィッシャースペースペンでした。窒素が充填された通気口のないカートリッジは、極端な温度から無重力環境まで、あらゆる条件下で機能します。頑丈に作らていて、インクも蒸気の放出を防ぐために特別に調合されていました。
ゼロハリバートン:貴重な積載物を守るために作られたケース
1960年代、ゼロハリバートンは丈夫で軽量、そして気密なトラベルケースの大手メーカーとして評価を得ていました。高強度の航空機用アルミニウム製ラゲージから出張用のトランク、繊細な科学機器専用ケースまであらゆるものを保護するため、ゼロハリバートンは数十年間ケースを作り続けていました。そして、ゼロハリバートンは月の石を持ち帰るケースの依頼を受け、開発しました。現在、ゼロハリバートンのアルミケースは、歴史上最も貴重な積み荷を輸送するために作られたケースと同じDNAを持っています。
アポロ11号の道具
秘話
1. 宇宙船をホットワイヤー(針金でエンジンをスタート)する方法
月着陸船でEVA(船外活動)の準備中、サーキットブレーカースイッチが壊れてしまいました。スイッチは月着陸船の上昇エンジン用で、それがなければエンジンは稼働せず、2人の宇宙飛行士は月面に立ち往生することになってしまいます。240,000マイル離れた最寄りの電気技師とオルドリンは解決策を思いつきました。彼はちょうど良いサイズのフェルトペンの先で内部の金属片を持ち上げ、回路をつなぐことに成功しました。スイッチは作動しエンジンが稼働しました。そのおかげで、2人の宇宙飛行士が司令船に戻り、地球に帰ることが出来ました。
2. 宇宙飛行士は、愛するほどにオメガの時計を気に入っていた
40,000km/hで飛行する場合、正確で信頼性の高い時計はファッションではなく、任務遂行する上で重要な機器となります。テスト後、オメガスピードマスタープロフェッショナルが選ばれ、宇宙飛行とミッション遂行のための認定された時計となりました。時計に慣れるためにミッション前に宇宙飛行士に支給されたのですが、かれらは時計の虜になってしまいました。みんな時計がとても気に入ったので、やがてNASAの在庫から時計が無くなってしまいました。宇宙飛行士室長は、宇宙飛行士たちが時計を返還していないと聞き、簡単なメッセージを書いたメモを送りました。「時計を返還しないと宇宙に行けなくなりますよ。」時計は政府の財産でしたし、宇宙飛行士はしぶしぶでしたが、そのメモを見たあとすぐ返還しました。
3. ビンテージのハッセルブラッドカメラがたくさんある場所
アームストロングとオルドリンが月面着陸に向け出発した時、最先端のハッセルブラッド500ELカメラを2台持って行きました。343枚の写真が撮影され、撮影済みのフィルムは地球に戻りましたが、2台のカメラは月に残されました。アポロミッションでは、フィルムを持ち帰りカメラを残していくと決められていました。重量を少なくすることによって、より多くの貴重な月のサンプルを地球に持って帰ることができるためです。アポロミッション全体として、合計12台のハッセルブラッドカメラが月面に放棄されました。もしあなたがヴィンテージカメラのコレクターでしたら、月に行く価値があるかもしれません。
Episode 4プレビュー:貴重な積み荷を保護:大事な物を持ち運ぶための芸術
アポロ11号には最終的な任務が1つあり、それは2つの8.9kgのゼロハリバートンアルミケースの性能に任されました。アポロ11号ミッションを成功に導いたそのケースのDNAは、現在のゼロハリバートンアルミニウムケースのすべてに受け継がれています。エピソード4では、貴重な貨物を保護する必要があるとき、なぜ多くの人にとってゼロハリバートンのケースが最初の選択肢になるのか、を明らかにしていきます。
貴重な貨物を保護する:物を運ぶケース製作という芸術
エピソード4では、月の石を収納し保護した2つのケースの開発ストーリーをお伝えします。ゼロハリバートンは、今でも比類ない開発能力と革新の精神で、現代の人のニーズを満たすためアルミニウムトラベルケースを作り続けています。
写真提供: NASA - ご厚意により許可転載